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重なり合う風景

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2024.10.14

ブログ

秋芳洞〜大地の胎内に

先日、広島に帰省した際、山口県・秋芳洞に足を伸ばしてきました。

初めて訪れたのが小学校の修学旅行。

その時の感動がそのまま蘇ってきました。

 

《腹ごしらえはごぼう麺》

新幹線の新山口駅から路線バスで約40分、11時に秋芳洞のバスセンターに到着。

鍾乳洞入口までは、両脇にお土産屋さんが軒を連ねる道を10分。

途中、「ごぼう麺」の幟に心ひかれ、早めの昼食をとることにしました。

食べるのに夢中で写真を取り忘れました(汗)

秋芳洞でなぜごぼう?と思ったのですが、ちゃんと理由がありました。

このあたりの石灰岩質の土地は水を蓄える力が弱く、硬い土壌になります。

土が硬いためごぼうはゆっくりと成長し、風味がよくきめ細かで柔らかな肉質になることから、地元美祢市の名産品になっているそうです。

薄くスライスし唐揚げにしたごぼうチップスがこんもりと盛られ、ごぼうが練り込まれもちっとした麺とチップスの食感が楽しい逸品です。

レジでシャキシャキ働くおかみさんの「美東ごぼうを食べとるから、私しゃ91歳でこんなに元気」がやたら説得力があり、お土産に買って帰りました(笑)

 

<いよいよ鍾乳洞へ>

下流の入口からは大量の地下水がざあざあと音を立てて溢れ出ています。

水の透明度はすばらしく、小魚が泳ぐ姿がはっきりと見えます。

全長11kmと言われる秋芳洞ですが、公開されているのはわずか1km。

それでも見どころ満載で、この10倍もの未知の空間が広がっていると思うと、地底のロマンを感じます。

鍾乳洞は石灰岩に含まれる炭酸カルシウムが地下水に溶け出し、あるものは天井から滴り落ち、あるものは岩肌を流れ、気の遠くなるような時間をかけて形つくられた自然のアートです。

それは現在も進行中。

多くの見どころがある中から、ハイライトをご紹介します。

 入ってすぐの「青天井」高さ30m、幅50mの大空間。秋芳洞のスケールの大きさを感じる場所
「百枚皿」実際は直径10cm-4mまで大小あわせて500枚もあるそう
「洞内富士」2cm伸びるのに500年かかる石筍。ここまで盛り上がるのにどれほどの時間がかかったのか
「傘づくし」つららのように垂れ下がる大小の鍾乳石。2cm伸びるのに250年。手前の大きなもの(1m)では1万年以上も
「黄金柱」高さ15m幅4m。よく見るとレースのような細かな模様があり、まるで職人芸
「巌窟王」まるで人のよう。これも天井から滴り落ちた地下水によるものですが、他が滑らかな曲線なのに対してこれだけなぜかゴツゴツ
天空の城ラピュタを思わせる細かな造形

地底の造形美を存分に堪能した後、秋芳台に出るエレベータに乗りました。

地底から一気に100m昇ると、そこは見渡す限りの草原。

灰色に見えるのが石灰岩

<3億5000年の旅>

この真下が秋芳洞で、鍾乳洞とカルスト台地は上下ひとつのものです。

石灰岩が雨水に溶かされて窪みになった箇所(ドリーネ)がいくつも見られ、中には下の洞窟とくっついたところもあります。

中は深くて落ちると二度と出てこれないかも。(汗)

ところで、石灰岩はどうやってできるかご存じですか?

珊瑚やウミユリ、貝殻など海洋生物の死骸が堆積したものです。

なんて、知ったかぶりしていますが、私も秋吉台科学博物館で学んだばかり。

ということは、ここは元は海?

はい。そうなのですが、そこには3億5000万年もの長い旅がありました。

浅い海にできたサンゴ礁が海洋プレートに乗って大陸に向かって移動。

プレートが大陸の下へ潜り込む際に、サンゴ礁は剥ぎ取られ大陸側に付着。

その後、上へと押し上げられ、やがて地表に現れました。

さらに約2000万年前、大陸から日本列島が分かれ、現在の場所に落ち着いたというわけです。

悠久の時と地球のエネルギーによる、まさに人知を超えた営みですね。

ちなみに、このあたりには石器時代から人が住んでいたそうで、多くの遺跡が見つかっています。

遊歩道を歩くと、秋吉台はすっかり秋の装いでした。

秋晴れの一日、大地の胎内に抱かれ、悠久のときに思いを馳せる。

いいものですね。

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// 2023/07/22 右クリック抑止 by yuki