2026.9.19
《お便りNo.61/62合併号》アイスランド 展示会と8日間の共同生活
こんにちは、坂本澄子です。
金木犀が香り始め、いよいよ秋という感じがします。これからシルバーウィークで連休の方も多いと思いますが、お天気が少し心配ですね。
さて、まずはごめんなさい。
先月はアイスランド行きの準備で最後までバタバタし、とうとうこのお便りをお送りできませんでした。そこで今月は合併号として、展示会の舞台裏やアイスランドの魅力をたっぷりお届けします。
<日本と意外に似ていたアイスランド>
今だから白状しますが、展示会に誘われたとき、私はアイスランドをイギリスのすぐそばにある国だと思っていました。
それはアイルランドです(笑)

でも、実際に訪れてみると、アイスランドは思いのほか日本と似ていました。
島国で火山が多く、自然災害と隣り合わせに暮らしていること。そして、自然は征服するものではなく、共に生きるものと考えていること。山や川など、自然の中に目に見えない存在を感じるところにも、どこか東洋的なものを感じました。
人の温かさにも何度も助けられました。
バスを降りて道に迷ったときには、通りかかった人が声をかけてくれ、「それなら一つ前のバス停よ。送ってあげるから乗って」と、車で送ってくれました。
観光地では、少し怪しい日本語で話しかけてきた若いカップルに一瞬身構えたものの、聞けば来年、仕事で千葉へ行くとのこと。「写真を撮りましょうか」と声をかけてくれていたのでした。
初めて会った人でも、まずは信じてみる。そんな空気も日本と少し似ているように感じました。
驚いたのは物価の高さです。
円安の影響もあり、感覚としては日本の約3倍。初日、荷物が多いからと何も考えずタクシーに乗ったところ、40分ほどでなんと約3万3千円。バスは1回約900円、パスタも一皿4~5千円ほどします。
そんなわけで、滞在中はアパートを借り、4人で共同生活。外食は極力控え、自炊することになりました。
<まるで大人の合宿>
レイキャビークには、シンプルながら洗練されたデザインのアパートが並んでいます。外壁に波型の金属板を使った建物が多いのも、この街らしい風景でした。
私たちのアパートにはキッチン用品がひと通り揃い、インテリアの色使いもとても素敵。長い冬を家の中で過ごす国だからこそ、住まいを心地よく整える文化が育ったのかもしれません。


夕食後、ビールを飲みながらアート談議をするのが毎日の日課になりました。
スーパーで買えるのは、ノンアルコールかアルコール度数2.25%ほどの低アルコール飲料が中心。酔いすぎることなく、でも少し気持ちが和んで、本音で話せるのです。
私もそうですが、みんな別の仕事をした後にそれぞれの転機を迎え、作家になっています。何度も壁にぶつかり、時に強い孤独を感じながらも、創ることをやめなかった人たち。そこには奥深い物語がありました。

大人になってから、仲間と寝食を共にして、毎晩こんなふうに語り合う機会はなかなかありません。まるで学生時代の合宿のような、懐かしくも新鮮な時間でした。
<みんなでつくり上げた展示会>
会場となったギャラリーArt67では、創立メンバーのベルナやクリスティンをはじめ、所属アーティストの皆さんに本当にお世話になりました。
自然、とりわけ水のある風景を描く作家が多いと伺い、今回の展示テーマは「水」に決めました。日本とアイスランド、それぞれの作家が水に寄せる思いが、ギャラリーの中で響き合えばと考えたのです。
展示に関して、ベルナは一切妥協しません。
「この作品はほかとテイストが違うから、ここではない方がいいわ」
墨の翠美さんと色を抑えた小田さん、一方、鮮やかな色彩の昂響さんと私。それぞれの個性を生かしながら、どうすれば全体を一つの展示として見せられるのか。約2時間にわたって、ああでもない、こうでもないと話し合いました。
そして完成したのは、作品から作品へ視線が流れていく、私たちの想像以上にまとまりのある展示でした。

レセプションでは、クリスティンがアイスランドらしい軽食を用意してくれました。
地熱を利用して焼く、ほんのり甘いライ麦パン「ルーグブロイズ」にマトンのパテを塗ったものや、トラウトの燻製。美しく盛り付けられた料理からも、皆さんの温かなもてなしの気持ちが伝わってきました。

会場にはアイスランド大学の学生、現地に暮らす日本人、さらには賑やかな様子に引かれて入ってきた旅行者や通りすがりの方々も。日本大使館からは竹若大使も駆けつけてくださり、大変盛況なレセプションとなりました。

<地球が動いている島>
滞在の終盤には、アイスランド西部のスナイフェルスネス半島へ足を延ばしました。
アイスランドは、ユーラシアプレートと北米プレートが少しずつ離れている場所にあります。大地の裂け目や溶岩が固まった荒々しい地形、氷河に削られた平らな山々。少し移動するだけで、地球ではない場所に降り立ったような光景に次々と出会いました。

氷河で削られてできたアイスランドを代表する山

溶岩が作り出した荒々しい大地
今も大地が動き、姿を変え続けているアイスランド。目の前の風景から、地球が長い時間をかけてつくられてきたことを感じました。
<次はいよいよ個展です>
アイスランドから帰国し、来月はいよいよ個展「時の回廊」が始まります。

40年ぶりに訪れたドイツで感じたことを、あの頃の私と今の私との間を行き来しながら描きました。パリの風景や空想の風景を交えた約20点に加え、今回初めてお見せするものも準備しています。どうぞ楽しみにしていてくださいね。
そして、作品が生まれた背景や旅のエピソードを綴ったアートブックも、今年もお届けします。
今まさに推敲の真っ最中。読み返すたびに手を入れたくなり、いつまでも終わりません(笑)。10月初旬にはAmazonからお手に取っていただけるよう、準備を進めています。
最新情報はこちらの個展専用ページを更新していきますので、時々チェックしていただけたら嬉しいです。
今月も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
季節の変わり目、どうかお体に気をつけてお過ごしください。
では、来月またお会いしましょう。
アイスランドでの大人合宿ができたのは、それぞれの芸術を追求して、チャレンジ精神の衰えない気の合う仲間だからですかね。
個人的には氷河で削られた山、レセプションのオードブルと全種類のびーの写真、そして柵のない滝の動画に魅せられました。
アイスランドでの経験は宝物ですね!
来月(早い!)の個展楽しみにしています。
寒暖差で体調崩されませんように。
上原さま、コメントありがとうございます。
私たちは昨年NYで知り合って、住んでいる場所もバラバラなので、じっくり話したのは実はアイスランドがほぼ初めてだったのですよ。展示会が実現するまでの紆余曲折を一緒に乗り越えてきたというのはもちろんありますが、きっとこれもご縁ですね。
個展にも来ていただけるとのこと、ありがとうございます。
心を込めて準備します。
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