2021.10.23
世界で一枚の絵
こんにちは、坂本澄子です。
急に寒くなりましたね。そろそろ霜降の季節ですね。
オンライン展示会#2『月の贈り物』はご覧いただけましたか?
もう見たよという方も、よろしければぜひもう一度。
その時の心の状態で、全く印象が変わるのが絵の不思議なところなんです。
毎週1作品ずつ制作エピソードをご紹介していますが、今日はちょっと中休み。あるお客様のケースを例に、私がどんな風にご注文制作に取り組んでいるかをお話したいと思います。
お客様は大阪府のSさま、私がかつて勤めていた外資系IT企業の一年先輩で、当時はまだ少なかった女性営業のお仲間です。
8月に大阪の展示会に来てくださり、20年ぶりに旧交を温めることができ歓んでいたところ、ご自宅に飾る絵を2点ご注文いただきました。
1つは冬のけやきの凛とした姿を描いた『星降る夜に』、もうひとつは『桜』です。
『桜』は0号の一番小さなキャンバスに描いていたので、『星降る夜に』とサイズをあわせて10号(530x455mm)でのご注文制作です。
季節によって掛け替えたいからというのがその理由。お部屋にいても季節を感じられるものにしたいなと思いました。
ところで、キャンバスサイズは一般的なF規格でも号数によって縦横の比率が違うのですよ。
0号はワイド画面のような長四角で、10号は昔のブラウン管テレビのように正方形に近いのです。
PCの画面でご覧になっていると、画像が並んで表示されるのでよくわかりますよね↓
そこで10号では、オリジナルよりも空を明るくして対岸のシルエットを浮かび上がらせ、天と地を意識した構図にしました。
すると今度は、大地に生命を描きたくなりました。
Sさまはこの春保護猫を家族として迎えられ(SNSに投稿される愛らしい写真を私も楽しみにしています)、その猫ちゃんと時々遊びに来るノラちゃんを加えるご提案をしました。
そして最後に色の調子を整えて完成。もう一点の『星降る夜に』も少し手を入れました。
額装もお任せいただいたので、2点を画材屋さんに持ち込みあれこれ着せ替えをして、これはと思うものを数点写真に撮ってSさまにお送りしました。
少し緑の入ったアンティーク調のシルバーはどちらの作品にもよく似合い、それに決定。
こちらが飾られた写真です。
以前からお持ちだった素敵な生地で作ったお茶箱と、偶然にもお色味がぴったり。
お母様も「落ち着くね」と気に入ってくださったそうで、とても嬉しいです。
「こうなると春夏秋冬、揃えたくなるね」とSさま^^
今回の制作で感じたことは、原型となる作品があっても、制作の過程で絵が生き物のように変化していくこと。お客様とのやりとりを通じて、その方だけの「世界で一枚の絵」になっていくということです。
実は、制作中Sさまの猫ちゃんが手術を受けることになったと聞き、気が気ではありませんでした。
祈るような気持ちで毎日キャンバスに向かい、寒さに耐えるけやきには春を予感させる新芽を、桜の木の下には生命感あふれる草花をたくさん描き加えました。
手術は無事に終わり、復活したSNS投稿に目を細める毎日です。
気になる作品があるけど、サイズがあわないなあ
もしもそう思っておられたら、どうぞお気軽にお問い合わせからご相談ください。
心を込めてご提案をさせていただきます。