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2022.7.23
3度目の直島(前編)
こんにちは、坂本澄子です。
学校も夏休みに入り、夏休み気分が高まってきましたね。
先日久しぶりに本屋さんを覗いたら、懐かしい新潮文庫の100選が平置きしてありました。
思わず手に取ったのがサマセット・モームの『月と6ペンス』。
合計3冊を衝動買いして、夜更かしの日々が続いています。
3連休はアートの島で過ごしてきました。
直島のことはご存じでしょうか。
瀬戸内海の岡山県寄り(でも香川県)に浮かぶ小さな島です。
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2017年に初めて訪れて、次は2019年、気がつくとまた吸い寄せられてしまっています。
東京からだと、羽田〜高松空港、バスで高松港まで43分、さらにフェリーで50分。
行くだけでほぼ半日がかりです。
それなのに、なぜこんなにも惹かれるのか。
考えてみたのですが、これがあるからというのではなく、瀬戸内の景観、安藤建築、アート、食、ホスピタリティ、島の風土などなど、全てが美しく調和し、全体として高い完成度を保ち続け、進化し続けていることではないかと思いました。
今年2つのギャラリー、写真家・杉本博司さんの「時の回廊」、安藤忠雄さんの建築に草間彌生さんらの作品が置かれた「ヴァレーギャラリー」が新たにオープンし、これで直島の安藤建築は9つになりました。
3日間で撮りに撮った300枚の写真から厳選して、あくまで私の視点ですが、直島の魅力をご紹介したいと思います。
直島の宮浦港に到着するとまず最初に迎えてくれるのが、草間彌生さんの赤かぼちゃです。
中に人が何人も入れるほどの大きさ。
これを見ると、「また来たよ〜」の気分になります。
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金沢21世紀美術館でもお馴染みのドロップチェア
直島がアートの島と呼ばれるのは、主に島の南半分です。
ここには建築家・安藤忠雄さんの設計による建造物が、島の景観を損なわないよう傾斜地に溶け込むように建てられています。
ゆったりと展示されたモダン・アートは景観の一部にもなっています。
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硝子の茶室「聞鳥庵」(杉本博司)
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世界の海の水平線を撮影した作品
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『100生きて死ね』(ブルース・ナウマン)
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これと同じ黄色と黒のボートが実際の浜辺にも
2日目はベネッセミュージアムから宿泊者専用モノレールで登った丘の頂上にある、OVAL(オーバル)に泊まりました。
OVALとは楕円。その名の通り、水を張った楕円形の池をぐるりと囲むように6室が配置されています。
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空には夏の星座が輝いていました
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楕円の最上階に上がると360°の眺望
最大の魅力はなんといっても美術館に泊まれること。
夜の美術館だって独り占めです。
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夜の静けさを一層感じさせます
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安藤忠雄さんの建物の空間に身を置けることは、本当にしあわせ。
コンクリート、鉄、木、ガラスといった素材を組み合わせた建造物。
細いスリットで作り出す開口部があちらこちらにあり、その隙間から垣間見る風景を非日常的にしているようにさえ感じます。
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自然と人工物の美しい調和。
ここには私の好きな風景があります。
心に蓄積された風景をいつか描いてみたいと思います。
来週の後編は、直島の風土、人々を巻き込んだ町作りと家プロジェクト、そして、食の魅力をご紹介します。
◆お知らせ◆
来週月曜日25日から30日まで、「現代童画会セミナー展’22」が開催されます。
『古都の桜』を出品しますので、お立ち寄りくださいね。
25日(初日のため13:00 Open)と28日午後は会場にいます。30日(土)は行けなくなってしまいました。ごめんなさい。
詳しいご案内はこちらをどうぞ!