階段の下に広がる宇宙——。

この「時空の交差」は、私が繰り返し描いてきた好きなモチーフです。

テリトリーを巡回中の猫が、見慣れない階段を見つけました。恐る恐る覗き込むと、暗闇の底で何かがきらめいています。一歩踏み出すと、それは無数の星々。

“天にあるはずの星が、なぜ地下に？”

猫は吸い込まれるように進んでいきます。

人生もまた、そんな階段のようなものかもしれません。見知らぬ世界へと続く階段の前で、不安と期待が入り混じる瞬間。

私にとっては、絵の道に進もうと決めたときがそうでした。踏み出した先に広がるのは、まるで別の時空間。選ばなかった階段もありますが、後悔はありません。迷いも遠回りも、すべてが今の自分を形づくっているからです。

日々の小さな選択のたびに、私たちはそれぞれの「時空の交差点」に立っています。どの道を選んでも、たどり着く場所は自分の中にしかないのかもしれません。