2021.4.17
散り際の桜が一番すき
こんにちは、坂本澄子です。
今年の春は桜を見に行く気になれなくて、ぼんやり過ごしているうちに、あっという間に桜の季節が終わってしまいました。
愛犬ケンとの散歩コースには桜のきれいな場所がいくつもあり、ここでもあそこでも、立ち止まってはシャッターを切る私。
その度にいつもケンは辛抱強く待ってくれていました。
そんな春をいくつか重ねたあと、別れの日はあっけなくやってきました。
1年前、桜がそろそろ散り始めた頃です。
脳に病気があることがわかったのは、その半年前のことでした。
覚悟していたとは言え、ぽっかりと空いた胸の空洞は簡単には埋まりません。
そんなとき、広島の母がお世話になっているホームから1枚の写真が届きました。
大きく枝を広げたそれは見事な満開の桜。
その前で母は穏やかに微笑んでいました。
母も高齢で健康上の問題を抱えていますが、その笑顔を見て救われたような気持ちになりました。
するとなんだか急に、桜が描きたくなったのです。
桜は何年も前に100号(長辺が私の背丈と同じくらい)の大きなキャンバスに描いて以来です。
今回は0号というハガキより一回り大きいくらいの、一番小さなキャンバスを選びました。
その小さな平面に小さないのち、されどかけがえのないいのちを描きこみたいと、万感の想いを込めました。
咲き始めから散りゆくときまで、桜は実にさまざまな美しさを見せてくれます。
散る姿まで美しいのはきっと桜だけではないかしら。
だから、私は散り際の桜が一番好きです。
生きるものすべてに終わりがあります。
自分もいつかその日を迎えるとき、静かな心でいられたらと思います。
そして、最後の日まで命を輝かせることができたら。
そんなことを考えながら、この桜を描きました。
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