2021.11.28
日本の美しいもの
こんにちは、坂本澄子です。
今日は東山魁夷画伯の唐招提寺御影堂障壁画を見るため、長野に向かう車の中でこのブログを書いています。
亡くなられて間もなく、ゆかりの地である横浜と神戸で開かれた大回顧展で初めて本物に触れて以来、最も素晴らしいと思う日本画家です。
作品に添えられた言葉にも深い共感を覚え、自然に対する眼差しに敬服しています。
今回はスケッチなど構想段階を窺う資料も多く展示されているようですので、しっかり学ばせていただきたいと思っています。
実は、私も少しだけ日本画を学んでいた時期があります。
大阪にいた頃、週末に娘と一緒にできることがしたくて、2人で絵画教室に通い始めたのです。
何しろ絵を描くなんて中学校の美術の授業以来ですから、最初はおっかなびっくり、教室にある桃やぶどう、百合などを描いていましたが、先生が日本画家だったこともあり、そのうち顔彩(日本画の水彩絵の具)を使って南天や絵皿を描くようになりました。
これはその頃に描いた絵の一つです。
夕飯の食卓にのぼる秋刀魚、仲良く並ぶ姿を微笑ましく思って描き始めたのですが、絵皿の模様に苦労しました(汗)
今でも私の作品に日本的な要素が顔を出すのは、日本の持つ美しさに対する憧れがあるからだと思います。
近年国際社会の中で日本が以前の勢いをなくしているように思うこともありますが、日本人であることにもっと誇りを持ってもよいのではないでしょうか。
そんな訳で、オンライン展示会#2『月の贈り物』から、今週の作品は『待宵月』を選びました。
10年ほど前、中秋の名月にお団子とススキが添えられたSNS投稿を見て、無性にススキが描きたくなりました。
特定の場所を写生したものではなく、淡く広がる月の光を受けて、ススキの穂が様々な色に光るさまを表現したいと思い、絵の具で下塗りをした上に、パステルで描きました。
数年後、高校時代の同級生から所望され、何ヶ所か手を入れて納品しました。
なんと、バリ島の画家アンタラさん(バリアートショールーム)の人物デッサンと並べて飾っていただいています。
全く違うものですが、真ん中に置かれたオブジェがうまく結びつけてくれていますね。
素敵に飾って下さり、ありがとうございます!
実はこの作品、今年別のお客様にも気に入っていただき、初めてジクレー版画を制作しました。
今まで複製はやっていなかったのですが、最近いくつかの作品を見て考えが変わってきました。
光の淡い感じがうまく再現でき、しかもご希望のサイズにできたところもよかったです。
お客様はこの絵から少年時代やご両親様のことを思い出されたそうです。
そんなきっかけとなれたことをとても嬉しく思っています。