2022.9.10
小説から浮かんだ情景
こんにちは、坂本澄子です。
秋晴れのいいお天気ですね。夜は満月も期待できそうです☺️
今日は新しい描き方をした絵のことをお話させてください。
この絵はある小説の場面から浮かんだ情景です。
『本当の翻訳の話をしよう』 村上春樹、柴田元幸著(新潮文庫)
両氏が翻訳について語った対談形式の本で、一世を風靡した作家でも、いつの間にか本屋の棚から消えてしまっていることがある。その度に残念な気持ちになるが、そんな惜しまれる海外小説を改めて翻訳し直して世に送り出したい作品はこれだといった内容です。(既に一部実現中)
『ティファニーで朝食を』の著者トルーマン・カポーティの短編『無頭の鷹』のある場面が取り上げられていました。
「ヴィンセントは、まるで海の底を歩いているような気分だった。五十七丁目の通りを走る市内横断バスは、緑色の腹をもった魚みたいに見えたし、人々の顔は波間に浮かぶ仮面のようにおぼろに浮かびあがり、ゆらゆらと左右に揺れた。」(村上春樹氏訳)
こんな街の描写で始まるその場面について、村上春樹氏は次のように語っています。
「僕はこの部分がすごく好きなんです。最初はずっと凝った街の描写が続いて、くねくねした描写なんだけど、突然緑のレインコートを着た女が出てくる。それがすごく印象的だった。緑のレインコートがカラフルでビジュアルで、情景がぱっと浮かんでくる。カポーティはそういうところが本当に上手いなと思うんだけど…」
これにズキューンときてしまったのです。
そして、私の脳裏にもその光景が鮮やかに浮かび上がったのです。
ふと、描きかけてやめた3号の小さなキャンバスが目にとまりました。
その上からモデリングペースト(凹凸を作る下地材)を塗り、食事をするナイフで伸ばすと、ナイフのギザギザが流れるような筋を描き出しました。
雨に煙った7月の午後5時の下地作りです。
乾くのを待って、後は夢中で描きました。
ある程度描き上がった後は、少しずつ描き込み、ようやく最初に浮かんだイメージに近づいてきたのがこちらです。
『無頭の鷹』を読んでみたくなりましたが、そうすると小説の挿絵になってしまいます。
私は脳裏に浮かんだ情景を素直に描き、自分の物語を作りたくなっていました。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ここで一つ質問をさせていただいてもいいですか?
この女性はここで何をしていると思いますか?
そしてこの絵から、どんな物語が浮かびますか?
私も原作については白紙の状態ですので、思い浮かんだありのままをお聞かせください。
詩や物語にしていただくのも大歓迎!
お問い合わせフォームの「お問い合わせ内容」欄を自由に使って、お送りくださいね。
そうそう、タイトルもまだなんです。この絵にふさわしい題名がありましたらぜひ名付け親になってください。
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