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2024.4.5
パリのおみやげ話〜前編
こんにちは、坂本澄子です。
先日、『パリ国際サロン』に参加するため、パリに行ってきました。
日本人作家の作品をフランスで紹介するこの展示会、今年で37回目を迎えました。
会場はバスティーユ・デザイン・センター。
もと金物問屋の倉庫だった場所を改装し、レトロ・モダンなギャラリーに生まれ変わりました。
木の温もりを生かした内装は、小学校の古い木造校舎のような懐かしい匂いがしました。
そんな会場の雰囲気を味わっていただきたくて、オープン前のまだ誰もいない時間に動画を撮影させてもらいました。どうぞご覧になってくださいね。
正味3日間という短い滞在でしたが、空き時間を見つけては、ギャラリーを回ったり、もう一度行きたい美術館を再訪したりと、充実した時間を過ごすことができました。
<ブルス・ド・コメルスに再び>
特に良かったのが、ブルス・ド・コメルス(Bourse de Commerce)、2021年にオープンした現代アートの美術館です。
証券取引所だった伝統的な建物が、建築家・安藤忠雄さんの手により現代アートと融合する場所へと生まれ変わったことで、当時日本でもかなり話題になりました。
実は私、現代アートは「・・・」なのですが、この空間が醸し出す雰囲気に惹かれてしまい、どうしてもまた来たいと思ったのです。
吹き抜けの大空間、そこに安藤忠雄さん肝入りの巨大なコンクリートの円筒を入れ込んだ構造になっています。
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去年行った時は、吹き抜け大ホールにはこんなふうに大型の立体作品が展示されていました。
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今回はそこがなんと、床一面の鏡張りに変わっていました。
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これも作品。韓国の女性アーティストKIMSOOJAが手がけたものです。
天井の高さがそのまま足元の深さになり、見下ろすと怖いくらいです。
床に腰を下ろし、幾何学模様の天井窓を見上げながら、ゆっくりとした時間の流れに身を任せる人も。
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ちなみにこの天井画と天井窓は旧証券取引所の時代からあったものです。
そして、他にもまだまだ驚く作品が続きます。
壁いっぱいの巨大な写真を前に車椅子の鑑賞者たちかと思いきや、精巧に作られた蝋人形だったのです。
プログラムされた車椅子が展示室内を行き交い、時にまるでダンスしているかのように絡み合うことも。
これを見て、(制作者の意図はともかく)、意図と偶然が共存するこの世界を感じました。
また、10体ほどの蝋人形はいずれも老人で、眠っているもの、中には既に息絶えたと思われるものもあり、悠久の時の流れの中の短い人の一生を感じました。
いずれにせよ、このようなスケールが大きい型破りな作品がこの場所には似合います。
・・・
そう思っていたら、こんな可愛い作品にも出会いました。
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<レストランがまたすごい>
この美術館の魅力は建築とアートだけでなく、食もまたオススメ。
三ッ星レストランのシェフミシェル・ブラス氏が手がけるカジュアルフレンチ「アール・オ・グラン(Halle aux grains)」です。
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私はパリに来ると、いつも食傷気味になりお腹が空かなくなるのですが(普段は大食らい)、去年もここの料理に救われました。
そこで、今回は奮発してランチコースを。
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最後にマンゴーを使ったデザートもつき、心もお腹も大満足でした。
ちなみに一人で来ている人は私を含めてわずか3〜4人、しかも全員女性でした。
女性の方が美味しいものに対する執着が強いのでしょうかね(笑)
ランチコースは56€(税込)、美術館に入らなくても、レストランだけでもOK。
事前予約がお勧めです。