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坂本澄子の絵画作品サイト

重なり合う風景

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2024.6.22

ブログ

記憶に触れる

こんにちは、坂本澄子です。

いよいよ梅雨の季節ですね。

ムシムシ、ジメジメは苦手ですが、雨の音を聞くのは好きなんですよ。

万物と共に包み込まれる感じで、なんだか落ち着きませんか。

 

最近、複数の方から偶然にも同じ趣旨のメッセージをいただきました。

「自分の意識下の声に共鳴しているものがあることに気づきました。それからは絵画一般の見方も変わりなんとなく楽しくなりました」

「気が付いていない心の中を覗くきっかけを与えてもらっています」

時を同じくして、先週NHKの「日曜美術館」(6/16放送)を見ていたら、

絵の価値は見る人の記憶に触れるかどうか。「私の代わりに描いてくれた」と、多くの人に思われることが「普遍性」になる。

そんな意味の言葉がありました。

その瞬間、回路がつながったようにビビッと感じました。

実は、以前私の絵を何枚も購入してくださった方から、こう言われたことがありました。

「私の見たかった風景はこれだったんだと気づけるものを、見せてもらっている感じがします」

その時はただ嬉しいばかりだったのですが、今ようやくいただいた言葉の数々が繋がり、そこにある深い意味にようやく気づきました。

絵の力って、すごいですね。

絵は心の深い部分、その人をその人たらしめている、意識下にある記憶に直接的に働きかけることができるのだと。

冒頭のメッセージをいただくきっかけとなったのは、先週のブログでもご紹介した2点の桜でした。

桜は別れと出会いの季節に咲く花。

ほとんどの日本人にとって、何かしら思い出のある花ですよね。

私のとっての桜の思い出は、関西に住んでいた頃のこと、約25年前に遡ります。

子供がまだ小さくて、外資系企業の営業職は毎日が怒涛のような日々。

その日の出来事を引き摺りながらの帰り道、駅を降りると待っているのが急な坂でした。

途中で息が上がってしまい、ふーっと一息。

その時、ふと視界の端に映ったものがありました。

見上げると、大きな桜の木。

花びらが一枚、また一枚と舞いながら落ちてきました。

「大丈夫、ちゃんと見ているからね」と言ってくれたように思えて、なんだか泣けてきました。

この時の思い出が元になったのが(描いた時は自分でも気がついていませんでしたが)、トップ画像の『月の贈り物』(部分)です。

今思うと、これまで生きてきて一番辛かった時期。

でも、あの時があったからこそ、今こうして生かされていると思います。

 

来週、25日から福岡市美術館で、写真家・清水貴子さんの写真展「一蓮托笑 ともに、笑おう」が始まります。

過去の困難を笑顔に変え、半世紀を生き抜いた女性、50人のストーリーが写真と共に展示されます。

公式ウェブサイトでも会期に合わせて、50人の笑顔とストーリーが公開されるそうです。

誰かの勇気になればと、貴子さんが50人全員にインタビューして300字で書き起こしたストーリー。

あの頃の私のことも優しい言葉で綴られています。

貴子さんと50人の笑顔に会いに、明日福岡に向かいます。

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// 2023/07/22 右クリック抑止 by yuki