2023.9.10
夏草とゴッホと
こんにちは、坂本澄子です。
昨日から郷里・広島に帰省しています。
3か月ぶりの実家はこの夏の猛暑で蔓を伸ばす夏草が生い茂り、庭が大変なことに。
特に驚いたのが藤の生命力。
周りの木にくねくねと絡みついているかと思えば、蛇のように地上を這い、家の壁をよじ登り屋根まで到達する勢いです。
私が子供の頃は直径20㎝ほどの鉢に植えられていたものですが、鉢を壊して地面に根を張り、母が藤棚を作ったのが20年くらい前。いまも勢力範囲を広げています。
春にかんざしのように垂れ下がる花を咲かせる和美人のイメージが… いやはや。
藤の蔓と格闘していると汗がどっと出て残暑厳しいと思っていたら、夜は案外涼しく、夜中に布団をかけ直すくらい。
暑い暑いと思っても、もう秋ですね。
夜の読書は数日前から読み始めた、原田マハさんの『リボルバー』を読み終えました。
同じくゴッホを扱った『たゆたえども沈まず』を読んでからずっと気になっていたのですが、文庫本になるのを待っていたら2年も経ってしまいました。
ゴッホが自殺をはかったとされるリボルバーを巡る、ゴッホとゴーギャンの関係性がこれまでにない視点で描かれています。
アートミステリーとして創作されたフィクションですが、史実を元にし、著者の美術史への深い知識と洞察力で綿密に組み上げられた物語は、「そんなことがあったのかも知れない」と思わせる力がありました。
そして何より、アートを愛し、これまでにない新しい絵画表現を目指して、自分との孤独な闘いを続けた2人の画家への敬愛に溢れるまなざしが、爽やかな読後感を与えてくれました。
広島にいる間、制作は夏休みと思っていたのですが、庭の夏草をデッサンしてみようと思いました。
こちらは4年前に描いたもの。
朝晩の涼しさに秋の訪れを感じるとき、ふと、去り行く夏を惜しむような気持ちになりませんか。