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坂本澄子の絵画作品サイト

重なり合う風景

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《お便りNo.41》来年に向けて

こんにちは、坂本澄子です。

先日、岐阜のお客様から立派な富有柿を1ダースも送っていただきました。

絵を通じてご縁のあった大切な方に、こうして折に触れて思い出していただけるのは本当に嬉しいです。

 

<大切にしてきた絵を手放しました>

先日、我が家のリビングに変化が起こりました。

長い間、リビングの一角を森のようにしてくれていた、バリ島画家・エベンさんの花鳥画を手放すことにしたのです。

12年前に会社を辞めて絵の世界に飛び込んで以来、日々の暮らしに自然の潤いを与えてくれ、つらい時にも最初の気持ちに立ち返らせてくれた恩人のような絵です。

そんな大切な絵を手放そうと思ったのには、訳がありました。

リビングが今やアトリエになり、ここには自分の絵を飾るべきだと思ったのです。

コロナでバリ島に買い付けに行けなくなり、自分の絵を「なりわい」とする方向に舵を切って4年。

その間、常に不安と向き合いながら、内面から湧き上がってくる思いだけをエネルギーにひた走って来ました。

内からのエネルギーというのは、それまでの半生で溜め込まれ、吐き出すことのできなかった様々な思いです。

孤独、悲しみ、不安の中で、凛としていたいと願う気持ち。

そんなある意味「私小説的な絵」でも琴線に触れた方がおられ、作品をお求めいただけたことは、本当に作家冥利に尽きることです。

その一方で、より多くの方の心に響くためには、今の社会を反映するような普遍的なテーマを選ばなければならないのでは、とも思うようにもなりました。

そうなるとつい考えてしまい、筆が進まなくなりました。

でも、結局のところ、いくら考えても自分の中にないものは描けないのですよね。

そう気がついたとき、自分にとって絵を描くことの原点に立ち返ることのできる絵を飾りたいと思いました。

『往く春』2013

10年以上前に描いた絵ですから技術的には稚拙なところも多くありますが、この絵に込めた思いは間違いなく私の内側から出てきたものです。

ところで、エベンさんの絵ですが、私の思いを受け継いでくださる方にお譲りすることになりました。

数年前にバリ絵画を購入いただいた方で、たまにメールのやり取りをさせていただいていますが、あの頃の私のように、人生の岐路に立ち、不安や迷いの中で勇気を持って一歩を踏みだそうとされています。

あの絵がこれからの日々のお力になればと願っています。

 

<初めてのグラン・パレでのサロン>

パリの展示会場「グラン・パレ」が改修工事を終え、ル・サロン(フランス芸術家協会)が来年2月、6年ぶりにグラン・パレに帰ってきます。

ル・サロンは来年で235回目を数えるフランス最古の公募展。

今回は『森へ帰りたい』を出品します。

森の住処を追われ、街に迷い出た熊の狂気を描きました。

『森に帰りたい』2024

グラン・パレと言えば、トム・クルーズが映画『ミッション・インポシブル/フォールアウト』でスカイダイビングで屋根に降り立ってパーティ会場に潜入したシーンでも有名。

その天井の高さは夜になると、ライトアップされた展示ブースとは対照的に、幻想的な雰囲気を醸し出すのだそうです。

私はグラン・パレの展示は初めてなので、とても楽しみにしています。

 

<来年は…>

1年後を目標に、初めての個展を開きたいと考えています。

また、毎年8月に参加している「日本フランス芸術世界展」では、国立新美術館に幅5mの壁面をもらって、パリで発表した後、日本で見てもらう機会のなかった作品を展示したいと考えています。

私にとっては色々と動きのある一年になりそうです。

 

今月号も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

今年もあと20日を残すばかりに。本当に一年が経つのは早いですね。

来年も絵を描かせていただけることに感謝し、一日一日を大切に生きていきたいと思います。

皆様もどうぞ良いお年をお迎えくださいね。

  • 高須 章 より:

    いつも色彩豊かな絵を配信していただきありがとうございます。 これほど多面的に出展されていて 個展は初めて開催されるんですね。 先日 画家の小木曽誠先生の個展パーティにお邪魔しましたが、東京芸大時代の お友達から小木曽先生の話を伺い、当時 ”絵は終わった”と言われていた時代に 一人だけ 教室で 他の生徒が来る前に 白亜地を教室に並べて 何十枚も作っていた話を聞いて、鳥の先祖といわれる恐竜を垣間見た気がしました。 新国立美術館に5mのスペースへの展示 すごいですね。頑張ってください

    • 坂本澄子 より:

      高須章さま、
      いつもコメントありがとうございます。
      個展は初めてなんです。作品を描きためないといけないのと、観に来てもらえなかったらどうしよ〜と、つい億劫になり…汗
      4年経ったいま階段の踊り場に来た感じで、筆が進まなくなることもあります。宣言して描かざるをえない環境に自分を追い込み、たくさん描いているうちに、ふっと一段抜けていけて進化していられたらいいなと考えています。

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