
2025.6.22
《お便りNo.47》 父と猫とアイスランド
こんにちは、坂本澄子です。
まだ6月なのに茹だるような暑さですが、お変わりありませんか?
<アイスランドでのグループ展、少しずつ動き始めています>
先月のメルマガで、「もしかすると来年、アイスランドでグループ展ができるかも…?」というお話をしましたが、その計画に少し進展がありました!
会場候補は、アイスランドの首都レイキャビクにある非営利ギャラリー「アウス・ムンダー・サルル」。
現在このギャラリーでは、来年の個展・グループ展に出展するアーティストを募集していて、私たちは6人チーム“THE EDGE”として応募を済ませています。
応募は全部で270件あったそうで、選ばれるのは20組前後。会期が1組あたり5〜6週間とのことなので、単純計算でも倍率は約13倍の狭き門!
しかも、現地に1ヶ月以上滞在するのは日本人アーティストにとってはなかなか厳しい条件。物価も日本の2倍だとか…(汗)
そこで私たちは、日本アイスランド協会の35周年行事の一環として、通常の公募とは別枠で会期を10日間に短縮する特別企画ができないか、ご相談を進めているところです。
ちょうど来年は、日本とアイスランドの国交樹立70周年の節目の年でもあり、なんだかいい流れが来ている気がしています(という、根拠のない自信・笑)。
そんな矢先に、驚きのチャンスが!
なんと、アイスランドの現大統領、ハトラ・トーマスドッティル氏が来日されることになり、大使館を通じてアプローチしたところ、直接お会いする機会をいただくことができたのです。
大統領はアートにとても理解が深く、私たち“THE EDGE”のパンフレットにもじっくり目を通してくださり、
「ギャラリーのオーナーを知っているから、私からも言っておくわ」と、心強いお言葉まで…!
冒頭の写真は、そのときのひとコマ。
右に写っているのは、“THE EDGE”の代表・小田康夫さん(現在ワシントンD.C.在住のデジタルアーティスト)です。
ちなみに、アイスランドは1980年に世界で初めて女性大統領を誕生させた国。
現在のトーマスドッティル大統領は2人目の女性大統領で、ジェンダー平等ランキングではなんと16年連続世界1位!(世界経済フォーラム調査)
福祉や教育も含め、これからの日本にとって学ぶべきことがたくさんありそうですね。
アイスランドでのグループ展、どうか実現しますように。
温かく見守っていただけたら嬉しいです。
<猫が運んできた父との思い出>
先日、ある方からお手紙をいただきました。
メールやLINEが主流のこの時代に、わざわざ手書きで送ってくださることに、まず心がじんわり。
便箋からもその方のあたたかなお人柄が伝わってくるようでした。
ふと裏返してみると、そこにはたくさんの猫のイラストが。
それを見た瞬間、ある猫のことを思い出して、胸がちくんとしました。
私の机の上にも、同じ作家さんの猫の置き物がひとつ、ずっと居てくれています。
実はこれ、以前どこかに旅行したときに、実家の父にお土産で渡したものでした。

父が5年前に亡くなったあと、実家で遺品の整理をしていたときのこと。
父がいつも座っていた座卓の上に、その猫がちょこんと置かれているのを見つけたのです。
「帰ってこない娘のこと、思い出してくれていたのかな」
「もしかして、猫に話しかけたりしていたのかも」
そんなふうに思えて、そっと持ち帰り、今も私の机の上にいます。
たまに、この猫と目が合うような気がすることがあります。
不思議と、心がモヤモヤしているときや、何かに迷っているときに限って。
父とは衝突の多い関係だったけれど、私が絵を描くことにはずっと賛成してくれていました。
いい思い出だって、ちゃんとあったなと思い出させてくれる存在です。
ちなみにこの猫、スウェーデンの作家リサ・ラーソンの作品。
でも、スウェーデンには行ったことがないんです。不思議ですね。
一体いつ、どこで手に入れたんだろう……?いまだに思い出せないままです。
<今月の一枚>
最近、絵の注文制作のご依頼が少しずつ増えてきていて、本当にありがたく思っています。
ご注文をいただくたびに、いつも背筋が伸びるような気持ちになります。
それは、お話を伺いながら、その方の人生の大切な一場面にそっと触れさせていただいているような感覚になるからです。
「どうしてこの絵を描いてほしいと思われたのですか?」とお尋ねすると、
多くの方がご自身の心の奥にある想いや記憶を、丁寧に話してくださいます。
それは、幼い頃の風景だったり、大切な人への想いだったり。
ときには過去をふり返り、これからの時間を見つめる、そんな静かな旅をご一緒しているように感じることもあります。
今回の作品も、そんなやりとりから生まれた一枚です。

ご依頼主は、海の近くで育ち、学生時代はギターを片手に過ごされた方。
お仕事に追われるうちに、しばらく音楽からも離れていたけれど、今、自由な時間ができたからこそ、もう一度「好きなことを思いきりやってみたい」と思われたそうです。
そんな想いを込めて、いつか行ってみたい場所――ブラジル・イパネマ海岸の、あの青い空と海をイメージして描きました。
「この絵を見ていると、いろんなことがしたくなるし、いろんな場所に行きたくなる」
そう言っていただけたとき、本当に嬉しくて。
これからの毎日に、心地よい追い風が吹き続けますように――そんな願いを込めて、お届けしました。
<展示会のご案内>
「日本フランス現代美術世界展」
会期:8月7日(木)〜17日(日)
会場:国立新美術館
フランスと日本のアーティストたちの美の共演。約500点からなる展示は、毎年見応えがあったと言っていただいています。文化的背景の違いから来る表現の違いを愉しんでください。
私は、フランスの展示会に出展後日本では初のお披露目となる『再興』(サロン・ドートンヌ2024入選)、『心の小宇宙』(3部作、パリ国際サロン2024優秀賞)に加えて、新作の『星と花の降る夜』を出品します。
「現代童画会選抜展」
会期:8月18日(月)〜24日(日)
会場:銀座アートホール
私の所属する現代童画会の選抜メンバーによる作品展です。
スケッチブック(アイデア帳)を見ながら、どれを制作するか考え中です。
あ、でも、もう2ヶ月を切ってる(汗)
今月も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
11月の個展に向けスケッチブック(アイデア帳)のページが増えてきました。
受験生ではないけれど暑い夏を乗り切って良い作品を見ていただけるよう、準備を続けたいと思います。
皆様もお身体に気をつけて楽しい夏をお迎えくださいね。
坂本さん、アイスランドとの不思議なご縁がどのように繋がるかドキドキですね。
各展示会も応援しております!
お手紙は「坂本さんへ届けよう」と想った時に「絵がピッタリだ♪これで送りたい!」となった・・・そんな気がします。
不思議なご縁って偶然もあるかもしれませんが、繋がっているのかもしれませんね。
山嵜さん、心のこもったお手紙をありがとうございました。あの猫の便箋で私に手紙を書いてくださったことは、偶然のようで、実は必然だったのでしょうね。お陰様で父との良い思い出もたくさんあったことを思い出しました。
澄ちゃん、すごい活躍をいつも楽しく拝見しています。
アイスランドの件、実現するといいですね。
個展の際は是非お伺いさせてください。
沖田さん、ありがとうございます。
11月に久し振りにお会いできますね。楽しみにしています。
僕も先日 国宝を見てきました。 歌舞伎の世界は先代の市川 猿之助さんも 父を亡くしてからは 後ろ盾をなくして苦労して 自分の居場所を立ち上げられましたね。子供のころ 猿之助の”黒塚”は ストーリーはわからなかったけど ものすごいインパクトでした。 映画も歌舞伎界の裏までよく研究して作られてますね。 監督は黒衣といって黒服を着て 歌舞伎役者の面倒をみる方と一緒に 3年間歌舞伎の世界を見てから 映画を作られたそうです。
高須さんは子供の頃から歌舞伎に親しんでおられたのですね。『国宝』の監督は李相日さんですよね。観察力が素晴らしいですね。何事もそうですが、観察し、なぜそうしているのか疑問に持ち、さらに観察して気づきがあって…を繰り返すことで、より深いレベルに達するのではないかと思います。
怖い話でも何でもないのですが
お手紙を書くときに
デザインの異なる便箋が何枚かあったのですが「あっ!この便箋は坂本さんだ!」と思い便箋を手に取り筆ペンを走らせたのを覚えています。
考えた時間にして約3秒くらいです。私にははっきりとはわかりませんが、お父様が「こっちだよ」と指を差して私に教えてくれたのかもと思いました。
お父様が私に教えた理由があるとしたら
「この方(山嵜哲也という人)は娘を応援してくれる人なのか、ならばちょっと伝えるか」
と予想してみました。
「絵を描くことにはずっと賛成してくれていました」←この文面を読んだ時に坂本さんが絵を描くことにチャレンジする姿を応援してくれているんだろうなぁ
今まさに個展に向け頑張っている娘をきっと応援しているんだろうなぁ
導いてくれたんだろうなぁ
そんなことを私は思いました。
アイスランドの展示に向けて様々な方面から坂本さんとチームの皆さんで動かれたと思いますが、トーマスドッティル大統領とお話ができたこともお父様が応援してくれているんじゃないかなとも思いました。
これらの関係性は
目に見えない話なので全く関係ないかもしれませんが、私にはこの猫が
「招き猫ですね」
そんなことを思い、なんか微笑ましくなりました。
山嵜さん、ありがとうございます。確かに「招き猫」でした!
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