2021.4.21
嫁ぐ娘に贈る絵
こんにちは、坂本澄子です。
ひとり娘が嫁ぐことになりました。
社会人になってうちを出たのが4年前。
同じ東京に暮らしていながら、直接会うのは年2、3回という関係が続いたあと、
昨年勤務先がテレワークを導入したことからネットワーク環境の整った我が家に戻ってきました。
一度離れたことにより”ほどよい距離感”ができたのと、社会人として少し大人になったのかな、以前はあまり話をしなかったのが友達のような親娘になり、時にはおしゃべりが盛り上がり大笑いすることも。
彼には何度もお会いしており、これまでも安心してふたりを見守ってきました。
「新居に飾りたい」
娘からリクエストされたのは私の絵でした。
習作の途中で行き詰まり、そのままになっていた絵を完成させてほしいというのです。
それは、2年前のある晴れた日、屋上に上がって見た光景でした。
雲が風で形を変えながら次第に動物の姿になり、それがそのうち愛犬ケンになりました。
眼下に広がる東京湾とビル群。
太陽に眼を細めると光のヴェールが現れ、ふんわりと街を覆うように感じました。
しかし、、、結局絵としてうまくまとまらず、本画にできないでいた、そういう絵なのです。
あまり気が進まないまま、いざ新しいキャンバスを前にすると、娘に幸せになってほしいという強い思いに後押しされ、意外にも徐々に形になっていきました。
雲になったケンが娘を送り出す物語が思い浮かび、光のヴェールには私たち家族と彼の姿が映し出されました。
絵の下半分には地球が丸いことを感じさせる曲線を描き、さらに宇宙へと繋げることで、未来への希望を表現しています。
いまこうして考えると、2年のブランクは決して無駄ではなかったようです。
その間、様々なこと、つらいこともありました。
それでも、時の流れの中で徐々に気持ちが整理され、心の中で醸成された風景が絵になったように思います。
人生においても同様で、その時は長くつらいトンネルに感じても、後になってそれがいまの自分を作っていると思えることがありますよね。
人生は山あり谷あり。若いふたりがしっかりと歩んで行ってくれることを願い、これからも静かに見守っていきたいと思っています。