2021.9.4
私の好きな画家(2) アンリ・ルソー
こんにちは、坂本澄子です。
秋雨前線の停滞で、お天気がいまひとつ冴えませんね。
部屋の中も暗くて、気分もどよよん。
そんなとき元気になれるのは、マティスやルソーの鮮やかな色使いの作品です。
もし私がお金持ちだったら、部屋中の壁をルソーの熱帯の森シリーズの作品でいっぱいにしたい、なんて妄想をしています。
ルソーは画家としては遅咲きで、遠近法に従い光と影で立体的に表現する絵画技法がよしとされた時代、あまりに感覚的、奔放な画風は、技術的に稚拙と失笑され、サロンをはじめとする展覧会にはことごとく落選しています。
確かに、人物がやたらと大きくて背景と遠近感が一致していなかったり、人物の足先が宙に浮いていたり(足を描くのが苦手?!)など、いかにもダメだしされそうなところが…
『芸術家』はルソー自身の姿を描いた自画像ですが、巨人のように大きく描かれています。対して、作品左下の人物の小人のように小さいこと(笑)
しかし、熱帯の森を描き出してからはがぜん魅力が出てきます。
特に葉っぱにはこだわりがあり、蓮かな?と思われる花や熱帯の様々な植物を、植物園で観察してあとは想像と創作。
こんな植物はないと思われるようなものもありますが、どれも個性的な存在感を放っています。
中でも私が好きなのは冒頭写真の『蛇使いの女』。
随分前に東京で開催された「オルセー美術館展」で初めて見て釘付け、それが忘れられなくてパリに行き、オルセー美術館で二度目の対面をしました。
恵まれているなあと思うのは、写真がOKなこと。
しかも、日本の美術館のように混んでいないので(今は予約制で比較的ゆっくり見れるようになりましたが)、好きな絵の前で飽きるまで(飽きないけど)鑑賞できるのは本当に羨ましいですよね。
この絵は模写をしたくらい好きです。
そして、亡くなった年に描かれた幅3mもある超大作の『夢』。
こちらはニューヨーク近代美術館(MOMA)で見ることを楽しみにしていたのですが、残念ながら他へ貸し出し中…。
でも、『眠るジプシー女』を見ることができ、満足でした。
もちろん直接お会いすることができないので、いろんな書籍から想像するしかないのですが、自分の描きたいものを描きたいように描くこと、そしてそのことに絶対的な自信を持っていたことに、とても共感を抱いています。
当時アカデミーで名声を誇っていたブグローのビーナスを見て、あれなら自分も描けると、まったくもって微笑ましい女神を描いた天然ぶりも大好きです。
また、ルソーの絵に会いに行きたくなりました。
ルソーの好きな方はご存知だと思いますが、原田マハさんのアート小説『楽園のカンヴァス』、美術評論家・山田五郎さんの『大人の教養講座(ルソー編は4回もあります)』はアート初心者にも楽しめますよ。