2023.4.8
私の絵の方向性
こんにちは、坂本澄子です。
桜が終わると、今度は新緑の美しさが目を楽しませてくれています。
明るい緑がフワッと木々を彩るように芽生える姿は、新しい何かの始まりを予感させてくれますね。
つい先日、2月に開催された「第36回パリ国際サロン」の開催報告が送られてきました。
名前が似ていますが、フランス芸術家協会主催の「ル・サロン」とは別の展示会。
パリで日本人作家の作品を紹介する場として、今年で36回目を迎え、213点が展示されました。
勇気をいただいた出来事があり、今日はそのお話をさせてください。
私はミニ個展部門に3点を出品し、提携画廊ギャラリー・デュ・マレに展示していただきました。
ミニ個展部門の出品作品は寸評と共に図録に掲載され、ギャラリーの顧客に紹介されます。
この寸評は、作品の方向性に悩んでいた私に勇気を与えてくれるものでした。
こちらがその日本語訳です。少し長くなりますが、全文掲載します。
「坂本澄子の世界で、我々を直ちに魅了するのは、その満ち満ちた目を引く色彩、色が色としてそこに在るということである。彼女の画面構成の才もまた、作品そして風景を甘美なものにしている。その風景は古典的な屋外風景としてではなく、作家によって明確に選ばれた要素を基盤とした風俗画として構想され、そこで繰り広げられる場面は、彼女の最も瞑想的な作品の中においても、常に何らかの物語性を感じさせる。
自身が関心を抱く非現実的な光と、爽やかで穏やかな空気感によって活気づく夜の光景を通して彼女が提示するのは、小さな夢の断片である。それは、彼女自身の想像力から引き出された比喩に富んだ断片だけではなく、観る者に「理想の夢」というものを提示してくれる。つまり、彼女自身の夢の世界にだけではなく、すべての人が持つ憧憬や幻想の世界への扉を開いてくれるのである。時にありふれたドアをあけることで、夢の世界に到達できるかもしれないのだということを、我々に直接的に思い起こさせてくれる。それこそがアーティストの強みなのである。」
私の心に刺さったのが後半です。
絵を描くことでどんな価値を提供できるのか、そのことで私はずっと悩んでいました。
興味の対象が広がって作風が定まらず、画家として活動していく上でこれで良いのかという迷いがありました。
このモヤモヤとした気持ちに対して、答えを見つけることができました。
私自身もぼんやりと考えていたことですが、言葉として表現してもらったことで、胸にストンと落ちた、そんな感じです。
私の提供する「小さな夢の断片」が、見る人の内側にある何かを呼び覚まし、共感や喜び、穏やかな感情、そして時に勇気を与えることができれば、私の描くものには意味がある。
素直にそう思うことができたのです。
こちらがこのコメントを下さった、フランス三大美術誌「ユニベール・デザール」の編集主幹のジョセ・ティボさんです。
来年はぜひ直接お会いして、お話ができればと思っています。
そのためにもフランス語、頑張らなくては。
<付録:会場の様子>
通りに面して『もう一つの夏の夢』、後ろに半分見えるのが『明け方の夢』です。
そして、『もう一つの夏の夢』と背中あわせに『扉の向こう2022』を飾っていただきました。
こちらの男性はル・サロン名誉会長のザッキさん、この展示会の審査員の一人。
こちらはギャラリー・デュ・マレのマネージャーのシリルさんです。
翌週パリに行って、ギャラリーでの様子を伺ってきました。