2021.7.17
私の好きな画家 バリ島・ウィラナタ
こんにちは、坂本澄子です。
東京は昨日梅雨明けを迎え、急に暑くなってきました。
いよいよ夏本番ですね。
私がインドネシア・バリ島の絵画を日本に紹介する仕事をしていることは、ご存知の方も多いと思います。
まだ会社員だった頃、長期休暇をとって初めて行ったバリ島で運命の出会い。
絵の世界に近づきたくて、退職して「バリアートショールーム」を立ち上げて9年になります。
最初は、スタイルの異なる様々な画家の絵を扱っていましたが、この間、高齢で亡くなったり、画家をやめてしまわれたり。
そしてなにより、私自身がいいと思える作品をご紹介したいという思いが強くなり、結果的に、作品を扱う画家さんが絞り込まれることになりました。
そんな中でいまピカイチと言えるのがウィラナタさんです。
バリ島の芸術村ウブドで少年期を過ごし、17歳の時に初めて絵が売れて以来、画家のキャリアは30年以上。
150点近く、一貫して少年期に見たバリ島の風景を描いている画家さんです。
いい絵にはふた通りあるのではないかと思います。
心に刺さってくるような、強い個性を持った絵。
そしてもうひとつは、引き込まれるような絵です。
ウィラナタさんの絵は間違いなく後者。
見ているといつの間にか、その風景の中に自分もいるような気持ちになるんです。
ヤシの葉ずれの音や、あぜ道を踏むやわらかな感触、昼間の灼熱の残る草の匂い、
そんなものまで感じられます。
しばらくバリ島にも行けていませんが、チャットを使って、以前よりむしろこまめにやりとりができているのはありがたいです。
そこから見えてきたのは、画家の素顔です。
ちょうど今は、地元の方から依頼された、ケチャを題材にした絵に取り組まれています。
ケチャは舞手を中心に据え、その周りを囲むように男性が二重、三重に円陣を組み、腕を大きく動かしながら独特なリズムを口ずさむ、バリ島の伝統芸能です。
100名近い人々(動)とすぐ横に月夜の海(静)を組みあわせた珍しい構図で、とにかくバランスが難しいのだそうです。
常に新しいことにチャレンジしては苦しみ、難しいだけに余計に燃えるタイプ。
私もちょっと似たところがあり、親近感と尊敬の気持ちがより強くなりました。
たまに私も自分の絵の写真を送って見てもらったりしています。
キャリアを重ねても、常に新しい題材や描き方に挑戦するって素敵ですよね。
私もそんな画家になりたいと思います。