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坂本澄子の絵画作品サイト

重なり合う風景

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《お便りNo.17》 昔の私のこと

こんにちは、坂本澄子です。

秋も深まってきましたね。

空が澄んで、東京でも星がよく見えます。

先日人生の節目の誕生日を迎えました。

この赤いちゃんちゃんこならぬ赤いTシャツは、読者の方からプレゼントしていただいたもの。

人生の第二ラウンド、新たな気持ちで頑張りますので、これからもよろしくお願い致します!

 

さて、私の前職時代の話が聞きたいと、何人かの方からリクエストをいただきました。

2002年に東京に転勤になった頃のお話をしたいと思います。

そこでまずは「今月の一枚」。

これからもっと寒くなり空気がキーンと冷える季節を描いた『星凍る夜』です。

『星凍る夜』パステル 2013

厳寒に立つ一本の木の構図が好きでこれまでも何点か描きましたが、これが初代。

パステルで描いているので、キーンというよりは、少し暖かみが感じられますかね。

前職時代に10年間英会話の指導を受けていたアメリカ人女性サンドラが、2013年にご主人のリタイアメントに伴い帰国された際に記念に贈ったものです。

ご主人が外資系企業のトップだったこともあり、英会話レッスンの域をこえて、欧米人を相手にどう話すか、服装、立ち居振る舞いまでアドバイスしてもらい、私もサンドラのことを母のように慕っていました。

英語をやらざるを得ない環境に置かれたのは、大阪から東京に転勤になり、アジアパシフィック(AP)本社勤務になった時のこと。

オフィスは6、7割が外国人で、掲示物、メール、資料は英語。ミーティングも日本人以外が一人でもいると英語です。

大阪では英語を使う場面はほとんどなかったため、怒涛の荒海に投げ込まれた感じでした。

とにかく英語に慣れようと、仕事の後サンドラのところに通う日々が始まりました。

彼女に教わったことで一番大きかったのは、わかったふりをしないこと。

多種多様な国籍、価値観、考え方の人が共に暮らす社会では、相手が理解できるまで言葉を尽くすことは当たり前なんですね。

「英語がわからなくてごめんなさいではなく、堂々と質問していいのよ」

会議の時など流れを止めては申し訳ないという気持ちが先に立ち、ついその場をやり過ごしてしまうことが多かったのですが、思い切って「よく理解できなかったので、もう一度お願いできますか」と言えるようになりました。

こうして英語(というよりも外国人と仕事をすることですね)に徐々に慣れてくると、次にぶつかったのが内勤職への戸惑い。

それまで営業職だった私は、お客様に喜んでいただき、結果として売り上げが上がる(売れないと辛い)というある意味わかりやすい仕事だったのですが、自分のやっていることが会社の業績とどうリンクしているのかがわからなくなり、無力感が募るばかりでした。

その答えは、2年間のAP本社勤務が終わって数年後にわかりました。

国内の仕事に戻ると、女性の営業経験者を管理職に登用するグローバルな流れに乗り、会社の中でのポジションが徐々に上がっていきました。

部門責任者になると、アメリカ本社に直接業績報告を行う電話会議の場が毎週のようにあります。

いろいろな立場の人が参加する会議の中で、現状を説明し必要なサポートをもらうには、参加者それぞれのミッションや社内がどう動いているかを理解した上で話をする必要がありました。

そのことを、私はあの2年間で知らず知らずのうちに学んでいたのです。

それは自分への会社の投資だったことに、その時ようやく気がつきました。

その時は辛くてもがいているだけのように思えても、あの経験があったから今の自分がいると、後になって気づかされることはよくあります。

この木の絵を描いたのも、ようやく自分を客観的に見れるようになり、寒さの中に凛と立つ木の姿に自分を重ねたからだと思うようになりました。

木は木蓮だけでなく、クスノキや桜、ミモザなどその時々で姿を変えて私の絵に登場しますので、そんな視点でも作品を見ていただければ嬉しいです。

 

《展示会のご案内》

年内最後の展示会となる「第48回現代童画展」に『受け継がれる生命(いのち)へのまなざし』を出品します。

お近くの方はぜひ会場に足を運んでいただければと思いますので、作品の一部分のみ掲載しますね。

『受け継がれる生命へのまなざし』部分

古代から脈々と受け継がれる生命、それを育んだ青い星「地球」への讃歌です。

同時に、地球温暖化などその成り立ちが壊されていくことへの懸念も込められています。

今私たちがしていることはきっと見られている。

そんな思いで「まなざし」としました。

162x130cmの大きな作品、ぜひ現物を見に来てくださいね。

 

「第48回現代童画展」

 会 期:2022年11月10日(木)〜16日(水) 最終日は14:00終了

 会 場:東京都美術館 1階第1〜3展示室

 詳しいご案内はコチラをご覧ください。

 

今月も最後までおつき合いいただき、ありがとうございました。

朝晩冷え込むようになりましたので、お風邪などひかれませんよう気をつけてくださいね。

また、コメント、ご感想もお待ちしています。

  • 上原けさみ より:

    熱海お疲れさまでした。

    前職の事をしつこくお聞きしているように思い、申し訳なく思っていました。
    ありがとうございます。お聞きできて良かったです。

    好きな絵を描く事だけでなく、アートスペースSを一人で営まれている(企画、制作、営業推進、広報他)のを拝見していて、前職での経験があればこそお出来になる事だなと、常々思っていました。フランスでの、臆せず堂々とした立ち居振る舞いもしかりです。

    他の人が設計した物でなく、ご自分が描かれた絵で、人に喜んでもらう事を選ばれたのかなと、勝手に思っています。
    毎回同じ事を言っているような

    ネイビーの絵の前でパシャリとは

    いつも上野で会う友人が、一緒に見に行きたいと言ってくれています
    坂本さんの名前も覚えてくれました。
    何が起こるかわからない年頃なので、確実に決まりましたらご連絡させてください☺️
    コメントが長くなりすみません。

    • sumiko-sakamoto より:

      上原さま、コメントありがとうございます。

      普段は現在と未来のことしか考えていない私ですが、こうして過去を振り返る機会を与えてくださり、感謝しています。
      時間が経って思い起こすと、あの時のこれは今に至る道筋の中でこんなふうに繋がっていたのかと思うことがあります。
      それは、人それぞれに与えられた道のようにも思えます。
      望む望まないにかかわらず、私はどうも、既に多くの人が通って踏み固められた道ではなく、道なき道を歩む星の下に生まれているようです。
      それは決して楽ではなく、落ち込んだり悩んだりすることもありましたが、一人でも喜んでくださる方があると、とても大きな喜びになります。
      10年前に会社組織を卒業して、自分一人で仕事をするようになってからは、それがよりダイレクトに感じられるようになりました。
      例えば、作品を気に入って、ご自宅へ迎え入れてくださる方があれば、その方の心豊かな時間や幸せに多少なりとも寄与できているのかなと、私自身も大きな励みになります。

      上野の現代童画展にも来ていただけるとのこと、とても嬉しいです。
      ご都合が決まりましたら、お知らせくださいませ。
      最高の笑顔でお迎えします!

  • 土肥 より:

    えーっ!還暦??? 自分自身へ最も気合を入れられた瞬間でした。

コメントいただいたら必ず返信しますので、しばらく経ってからこのページを再度ご確認ください。

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